博士号を取ることにどれだけの価値があるのか?そんな疑問を持った方は多いのではないでしょうか。
これから取ることを考えていたり、今博士課程にいるけどこのままでいいのかと迷いを持ってしまうこともあるかと思います。
私自身、社会人ドクターとして働きながら大変な思いをして博士を取りましたが、その価値があるのかと迷ってしまった時期がありました。。
しかし、私の経験では大きな価値があり、取得後には満足度の高い仕事に就くことができました(給料もかなり上がりました!)
この記事では、そんな悩みや迷いを持った方に、
- 博士号取得者が持つと言われる市場価値・強みとは?
- 実際に私が博士取得+転職して感じた博士の市場価値
- 博士取得の価値を知るための方法
を解説します!
①博士号取得者が持つと言われる市場価値3選
まずは、一般的に博士号所持者が持つ強み・価値を説明します。
これは大きく3つに分けられ、
- 専門性の高さ
- 分析能力の高さ
- 研究等の新しいことを生み出す能力があること
と言われています。
それでは、それぞれについて以下で詳しく説明します。
専門性の高さ
博士課程では、特定の分野における深い専門知識を習得し、独自の研究を行うスキルを磨くことが求められます。
そして、実際にその課程を経て博士号を取得した人はその分野の専門家として認められ、高度な研究や問題解決に取り組む能力を持つことができます。
やはり、「博士=専門家」というイメージが強く、そして実際に博士号所持者はその分野に関してかなり深い知識や応用力を持っています。
その中でも特に、博士論文でどのようなことをテーマにしたかということをよくみられ、博士取得者同士では「〇〇の分野で学位をとりました」ということが自己紹介でよく言われるくらいです。
それだけ、博士課程でどんなことを専門に学んだかということが重量であり、かつ、それに関して実際に高い専門性を持っているということが一般的であるということがわかります。
分析能力の高さ
博士課程では、研究活動を通じて専門性だけではなく、高い分析能力も身につけています。
これは、
- こんな結果が出たから、こういうことだろう
- この理論を証明するためには、こういう試験をして、こういう結果が出ることが期待できる
というような、自身の研究を進めるためのものであったり、
- 世の中に出ている論文から自分だけのオリジナリティのある分野を作るにはどうすればいいか
- まだだれもやっていない研究成果を出すためには、どの分野でどんな攻め方をすればいいか
といったような、研究方針自体を考える過程でも必要とされる能力です。
これは、専門性のように特定の分野だけで必要とされる能力ではなく、あらゆる場面で発揮することのできる、とても強い強み・価値といえます。
研究等の新しいことを生み出す能力があること
博士号取得者は、独自の思考や研究を通じて新たな知識を創造し、その分野に貢献する機会を得ることができます。
いわゆる「0から1を生み出すことができる」ということですね。
もちろん博士課程を経た人でないと生み出すことができないということではないですが、
博士課程では、オリジナリティのある研究をすることが必要であり、それはつまり、誰もやったことがない、”0”のものに、”1”を生み出すことが求められ、それをクリアしたということになります。
そのため、少なくとも博士課程を経た人は、「0から1を生み出す」という経験(もしくはそれに似た経験)をしているといえます。
その過程では、すでにどのようなことが行われているのか、どんな取り組みが失敗に終わっているのか、失敗の原因は何か、使えそうな新しい技術や知見があるかといったことを徹底的に調査・分析・考察することが必要であるので、その経験というのはとても貴重なものです。
②私が実際に博士取得して受けた市場価値
これまでは、一般的に博士号所持者に対してどのような強み・価値があるのかについて説明しました。
次に、実際に私が、
- 社会人ドクターとして、博士号を取得した
- 博士号取得後に、その強み・価値を活かして転職をした
経験から、博士号にどのような市場価値を受けたか、その経験談をお伝えします。
市場に出ないと市場価値を感じることはできない
私は新卒字は修士卒で大手メーカーに就職しました。
そして、就職数年後に社会人ドクターとして働きながら大学に通い始め、3年半かけて博士号を取得しています。
その際、
・今の部署でより専門性を活かした業務につく
・ドクターの肩書きを活かして社内の別の部署に異動する
ということを期待していました。
つまり、取得した博士号を使って、”今所属している会社”で価値を高めたいと考えていたのです。
しかし、実際はその期待は潰えてしまいました。
そもそも今の部署に修士卒で配属されている時点で、会社としては「この部署の業務は博士を取る必要はなく、修士卒+業務経験を積むことで十分」と考えています。
そんな部署でドクターが評価されることは少なく、さらに、ドクターを活かした業務に就くということは起き得ませんでした。
(博士が評価されやすいとされる研究職ですら、半分以上が博士号を持っていないですし、その人たちも博士号をとって評価が上がることはありません)
特に、私の場合のように、多くの民間企業では、20,30歳代のプレーヤー社員の異動事情は
・業務を学ぶために基本的に異動はない
もしくは
・業務を学ぶために一律3~5年ごとのジョブローテーション
といった感じで、自己研鑽を活かして自分の意見を反映した異動というのはほとんどないのが実情となっています。
このため、社会人ドクターをとって、それを活かせるような別部署(例:製造部署から全く違う研究部署に異動)ということは残念ですが現実的ではないのが現実です。
ということで、博士号を取得しても、同じ環境にとどまったまま、つまり、市場に出ない限りは、
その市場価値を活かすことは非常に厳しいといえます。
転職市場に出て、その価値を実感
前項の経緯もあり転職を検討することとなり、博士を活かした転職ができないか、
・転職エージェント
・スカウト型転職サイト
に登録し、転職活動を開始しました。
その中でも、転職エージェントから最近の転職市場の傾向を教えてもらったり、
私自身の経歴が評価されるか等いろいろなことを聞くことができました。
結果的に、博士をとった私の経歴から、多くの優良な求人情報を紹介してもらうことができました。
また、会社との選考の面接でも、博士を含めた経歴の良い評価を受けることができました。
これらから、私が感じた最近の博士の実際の市場評価として、
・最近は技術系企業では”新しいことをする”ことが求められていて、既存事業の経験だけでなく、新しいことに適応する力として博士が評価される
(”新しいこと”=カーボンニュートラルやデジタル推進などの近年の流れとか)
・専門性以上に、高い分析能力,論理的思考力を求めるようなコンサルティング業などで博士が求められている
・そもそも、「博士を取る」という困難に挑んだこと,行動力を好意的に評価する
という点で良い評価を得ていると感じました。
特に、新しいことをする人材として,高い分析能力を持つ人材としての価値は、転職市場での高い価値に大きな影響を持っていますね。
このため、実際に市場、つまり、転職等の大きな人材市場に出ることで、はじめて博士の市場価値を活かすことができるといえます。
実際に私はそのまま転職し、
・新規事業なと、新しいことをする仕事
・給料は100万円以上アップ
・首都圏で異動なし
・福利厚生が手厚い
・等々
かなり良い条件の職場で働くことができました!
③博士取得による市場価値を知る唯一の方法う(博士挑戦前でも可能!)
ここでは、”自分にとって”の博士取得の市場価値を知るための方法を解説します。
ここで、”自分にとって”と特筆しているのは、
・博士を取る分野によって市場のニーズが違ってくるから
・社会人が博士を取る場合、自分のキャリアと博士の相乗効果が人それぞれだから
・時代は常に変化しているから
という理由があるため、一緒くたにいうことができないからです。
ただ、市場価値を知る方法は誰にとっても同じで、
・市場に出ること
・市場をよく知る人に聞くこと
です!
つまり、具体的にいうと、社会人ドクターを考えている社会人にとっては、
- 転職市場に身を置くこと(転職サイトや転職エージェントに登録すること)
- 転職市場をよく知るエージェントから話を聞くこと
となります。
前項でご説明したとおり、社会人が今の会社にいたまま博士の価値を活かすことはかなり難しいです。
そもそも”市場価値”を、市場に出ずに知ることもできないですし、その市場で高く自分を売ることもできません。
市場にでて、市場を知る人に相談・評価してもらうしかないのです。
そして、これの素晴らしいところは、転職エージェントのような人たちは、相談時点では常に自分の味方であり、
”博士を取る前”であっても、「博士をとったら市場価値はどうなるか」ということを知ることができることです。
決して無感情の市場で評価にさらされるわけではなく、
- 自分が満足できる次のキャリアを一緒に考えてくれる伴奏者
- 市場をよく知っており、求人情報以上の、各企業内の求めるものを直接企業からヒアリングしている
エージェントがいろんなことを教えてくれるのです。
- 博士を取得したけど、その市場価値がどのようなものかわからない
- 博士課程にいるけど、なんだかこのまま頑張る価値があるのか迷いが出てきた
- これから博士をとってみたいけど、そのことに価値があるのか知りたい
という人は、ぜひ転職市場をのぞいてみて、市場をよく知るエージェントからいろいろなことを聞いてみてください!
自分がわかっていない”博士の価値”を教えてくれて、博士取得の背中を押してくれたり、自分自身が博士を取るぞというモチベーション向上につながるのではないかと思います。
また、もしかしたら、博士を取らなくても自分の市場価値はすでに高く、博士を取るよりも、より良い環境で経験を積むことが良さそうだということもあるかもしれません。
まずは市場を知り、そこでの価値を見てみてください!
具体的な転職エージェントサービスの使い方やおすすめは別の記事にまとめていますので、ぜひそちらもみてください!とりあえず、転職エージェントサービスはまずは大手を使うことがおすすめです!
④まとめ
この記事では、
- 博士号取得者が持つと言われる市場価値・強みとは?
- 実際に私が博士取得+転職して感じた博士の市場価値
- 博士取得の価値を知るための方法
について説明しました。
博士取得者は、専門性・分析能力・新しいことを生み出す能力があると評価されており、市場でも価値のある存在であるといえます。
ただ、その市場価値を自身の業務内容や待遇に反映させるには、市場に出て、市場をよく知る人の助けを仰ぐことが重要となります。
つまり、社会人ドクターを目指す人にとっては、転職市場に出て、転職エージェントに話を聞くことが大切ということですね。
これによって、今すぐに転職をしない人でも、博士の価値を知り、博士取得への大きな一歩を踏み出すことができるようになるのではないかなと思います!
ぜひ、博士の価値を知り、取得を目指してください!