会社で働いていて、「ドクターとってみたいな」と思って社会人ドクターに興味を持つ方って案外多いのではないでしょうか。
ただ、社会人ドクター経験者は周りに多くないため情報は少なく、それでいて、ちまたでは「社会人ドクターはきつい!普通の人は絶対途中で断念する!」とよく言われています。
もしくは、昔に社会人ドクターをやっていた人は、「年に一回くらいしか大学には行かなかったよ。会社の研究やってるだけで取れたよ」みたいな古い情報かつ真偽不明なものも多かったりします。
ここでは、働きながら博士課程に通い、2021年に博士号を取得した私が、最近の社会人ドクターに関する以下の5つの情報をしっかり解説いたします。
・博士課程の流れ
・社会人ドクターのメリット
・かかる費用
・社会人ドクターをするために必要な会社の許可・使える支援制度
・社会人ドクターのきついこと(全体・英語等)
①博士課程の流れ
まずは、博士課程で何をするのか?ということを説明します。
博士課程をクリアするために必要なことは何か?と問われると、みなさん「研究しまくる!」と漠然としたイメージの方が多いかと思いますが、平たくいってしまうと、
「すべての卒業要件をこなす」
ことが必要となります。
当たり前だと思うかもしれませんが、このことをまず押さえた上で、実際の卒業要件を見てみると、博士課程のより具体的なイメージができるかと思います。
では、一般的な卒業要件はどういうものかというと以下の通りです。
・講義等の単位の取得
・論文投稿(英語の投稿論文等)
・国際学会での発表
・博士論文の執筆および審査
・TOEICスコア
これを3年間(もしくは延長して最大6年以内)でクリアすれば晴れて博士になることができます。
卒業要件のより詳しい内容や、私の実体験を踏まえた博士課程3年間の流れについてはこちらの記事で説明しているのでぜひ読んでください。
②社会人が博士を取るメリット
社会人が博士を取るメリットについては、自身の業務内容や会社の制度文化にもよりますが、以下のようなことが挙げられます。
・より専門性を活かした業務ができる
・博士であることが活きる部署に異動できる(希望により)
・博士取得が評価されて出世,給料アップ
・転職に活かすことができる
・そもそも博士という肩書きを得ることができる(自己満足ですが、これは大事だと思います)
それぞれのメリットや、実際にどんなふうに博士取得を活かすことができるか、こちらの記事で詳しく説明しているのでぜひ読んでください。
③博士取得にかかる費用
博士取得にかかる費用が気になる方多いかと思います。
社会人として働きながらですと、学生本人にある程度の収入があるということになりますので、大学からの返還不要の奨学金や奨励金,TA /RAとして給料をもらうことができず、ほとんどの人は満額自費で賄う必要があります。
実際、費用はかなり大きく、学費だけでも
・国公立で200万円程度
・私立大学では300万円程度
かかります。
また、それだけでなく、通学費や出張・学会参加費等で数十万円規模の費用が必要になる可能性があるため、トータルではかなりの額になりますね。
これについて、費用の詳しい内容や、費用を抑えるための方法等をこちらの記事にまとめていますので、ぜひ参考にしてください。
④社会人が大学に通うために必要な会社からの許可・使える支援制度
実際に社会人学生として博士課程に入学したいけど、そのために会社から許可を得なければいけないのか等、どうやって始めていいかわからない方も多いかと思います。
私自身、初めは社内の国内留学制度等の公式制度を使わなければ入学してはいけないのかと思っていました。
しかし、大前提として知っていただきたいのが、実際は社会人が大学に入学するのに会社からの許可はいりません!
自分の意思だけで大学に入っていいんです。
ただ、会社に制度があって使いたい方や、研究活動等に必要な時間を会社と調整するためにどうすればいいか等、会社からの考慮や使える制度を使うことはとても重要となります。
具体的には、
・国内留学制度
・休職制度
・有給休暇,フレックスタイム制度
が社会人ドクターにとって活用すべき制度となります。
こちらについて、会社との調整,使える制度,具体的な社内制度の活用方法についてこちらの記事に詳しく説明しています。ぜひご参考にしてください。
⑤社会人ドクターのきついところ
これまでのご説明で、社会人ドクターがどんなものか、少し具体的になってきたのではないかなと思います。
次に、「社会人ドクターがきつい!」とよく言われることに対して、実際にどんなことがきついかご説明します。
社会人ドクターのきつい項目は概ね以下の5つとなります。
・そもそも博士課程の卒業要件をクリアするのが大変
・学費等の費用がかかる
・時間がかかる
・会社や先生との人間関係が大変
・英語が苦手な人は、英語発表等が大変
どれも一筋縄ではいかないものばかりですが、多くのことは、大学・研究室選びをする際に気をつけることで軽減することのできるものです。
卒業要件や学費は大学や専攻によって大きく違いますし、人間関係や時間の融通についても指導教員の先生によってかなり違ってきます。
社会人ドクターのきつい点やその乗り越え方についてはこちらの記事に、
英語がどんな場面で必要になり、苦手な人はどうやって乗り切ればいいかということについてはこちらの記事に
詳しく説明していますので、ぜひ参考にしてください。
⑥まとめ
ここでは、社会人ドクターの全容について、
・博士課程の流れ
・社会人が博士を取るメリット
・博士取得にかかる費用
・社会人が大学に通うために必要な会社からの許可・使える支援制度
・社会人ドクターのきついところ
を切り口にご説明しました。
これまで漠然としたイメージだった「社会人ドクター」というものが少しでも具体的にイメージできるものになれば幸いです。
各項目について詳細を説明した記事もそれぞれありますので、ぜひそちらも参考にしてください。